夫には、ずいぶん前から日記を書くことを勧めていた。
でも、ヤシさんはもともと文章を書くのが苦手な人。認知症の症状が顕著に出ているのも、言語の分野だ。
だから、もうヤシさんが日記を書くことはあきらめていた。
そんな今日この頃、ふと思った。
私たちの今の生活。
ヤシさんが元気に、私のためにも頑張ってくれていること。
忘れたくないし、ヤシさんにも忘れないでいてほしい。
ヤシさんがしてくれたたくさんのこと。
一緒に過ごした、楽しい時間の数々。
義父はよく日記を書いていたし、何度も読み返していた。
ヤシさんも、私が書いた手紙を大切に取っておいてくれている。
きっと、書いたら読んでくれる。
そう思って始めることにした、ヤシさんのための日記。
ルールは、絶対にマイナスのことは書かないこと。
洗い物や洗濯をしてくれたこと。
ユーモアで笑わせてくれたこと。
一緒に食べたおいしいごはんや、誰と会ってどんな時間を過ごしたか。
そんな、日々の何気ない出来事を書いている。
その日に何をしたかも含めて、何かひとつでもプラスのことを見つけて残す。
実際に始めてみると、これは私のためにもなるなと思った。
気持ちが前を向くから。
感謝を改めて確認することで、ついつい怒ってしまうことも、少しは減ったような気がする。
そして、ヤシさんに日記を見せると、うれしそうな顔で読んでくれる。
読み終わったあとも、心なしか元気になっているように見える。
いつまで読み続けることができるかわからない。
でも、読めるうちに、少しでもこのノートを好きになってもらえたらいいなと思う。
今日も一日ありがとう。

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